看護師がプチ断食ダイエットを始めてみた件 中間報告

先日,看護師として働きながらプチ断食ダイエットをやってみようという記事をアップしました.

実は,その記事を書いた時点で,すでに実行に移していました.この記事を書いている時点ですでに2か月ほど継続しています.

定期的に体重計に乗っていましたが,体重を記録するのを忘れていまして始まりと現在の体重しか公開できません.

これからはできるだけ記録して推移を追いかけられたらと思います.

 

さて,まずはプチ断食ダイエットを実践できたのかどうかということですが,結論としては,継続できています.

そして,成果としては

体重75kg→71kg

BMI27→26

でした.ダイエットとしては効果がまあ出ているのかなという感じですね.しかし,実感として体が軽くなったという感じなので数字以上に効果があったのかもしれませんね.

それではこの2か月の感想をダイジェストで書いていきます.

プチ断食ダイエットを始めたのは5日勤(看護師業界の用語で,5日間連続で日勤となるシフトの事)の時からでした.

なぜこの時期を選んだのかというと,日常生活のリズムに従ってプチ断食のスケジュールを組みやすかったからです.単純に,始めてから続けやすそうなシフトだったからという訳です.

始めの週はとにかくお腹がすきました(笑).特に,朝の通勤中は「何でこんなことしてるんやろ」という感じで,1週目から挫折しかけました.

しかし,5日勤の4日目ぐらいから体が慣れてきたのか朝食を食べなくても午前中に感じる空腹感がいくらか軽くなりました.それまでは,10時ごろにナッツを食べていたのですが,4日目ぐらいから午前中のナッツはいらなくなりました.

そして,何とか5日勤を夕食の1食だけで乗り切りました.この時点で僕の身体は空腹に慣れてきたのではないかと思います.

そこからは1日1食生活でも仕事中は空腹をそれほど感じることなく過ごせたと思います.その背景には,病棟がかなり忙しくなったのも影響していると思います.つまり,空腹を感じている余裕がないくらい忙しかったと言いますか.私の住んでいる地域の近くで新型コロナウィルスの感染者数が再度増加傾向となり,一つの病棟がコロナ患者受け入れ専用となりました.それに合わせて僕の勤務している病棟からもスタッフを1名派遣することになり,実質看護師が一人少ない状態で病棟を運営していかなくてはならなくなりました.そのくせ入院患者の制限は掛けないという方針のため繁忙期を少ないスタッフで乗り切るということになってしまったのです.

さて,話がわき道にそれてしまいましたが,なんとかかんとかプチ断食ダイエットのスタートを切ることができました.準夜勤や深夜勤の時も概ね当初の計画通りに食事制限を行うことができました.

そして,1日のうちの1食は何も考えずに食べました.この生活を続けられたのには妻の協力があったことが大きいと思います.1日のうちの1食を,本当においしい料理にしてくれて,さらに前菜もたくさん用意してくれました.僕は意思が弱い人間なので一人では最初の1週間を乗り越えることは到底できなかったと思います.本当に感謝です.

もちろん,休みの日は食事制限はなしです.妻と息子と楽しく3食食べていました.息子には朝からしっかりと食べなさいと言っている手前,私が何も食べないわけにはいかないし,もともと食べることが好きなので休日は絶食のストレスを排除した形です.

結果的にこれが,2か月も続けられた理由の一つだと思います.

60日間ずーっと1日1食生活だとおそらく発狂します.我慢するところと妥協するところの区別をつけたからこそ2か月継続できました.

 

これからも何とか続けられそうなのでまた報告をしようと思います.

 

今日も,読んでいただきありがとございました.

看護師がプチ断食ダイエットを始めてみた件~実践編~

前回の記事では,青木厚氏の「空腹」こそ最強のクスリという本のざっくりとした要約とプチ断食について書いてみました.そして,今回の記事では,3交代制勤務をしている看護師が16時間のプチ断食をしようと思ったらどのような感じになるのかというスケジュールを計画していこうかと思います.

基本戦略としては,仕事の休憩時間の食事を抜くことで16時間の絶食を達成しようと考えています.3交代制勤務の場合,定時で終了したとしても8時間は病院にいることになります.ですが,私が働いている病院の場合,どの勤務帯でもだいたい1~2時間は残業をします.さらに通勤で往復2時間はかかるので.ここまでで12時間ぐらいを確保することができます.ここにあと4時間の絶食時間をプラスすれば晴れて16時間のプチ断食が達成できる!!となるわけです.

一番簡単なのは夕方から夜中までが仕事時間の「準夜」ですね.この場合は,仕事前の14時ごろに食事をとったとしても仕事の終わる1時までで11時間は職場にいることになります.そしてあとは家に帰って何も食べずに寝るだけです.大体6時間は寝ることになりますから.翌朝9時頃までは絶食を継続できます(トータル19時間ぐらい).十分ですね.そして,朝9時に朝食をとり,また14時ごろに軽食を摂って準夜2日目に向かうという感じです.慣れてくれば12時ごろに1回食事をとるだけで良くなってしまいます.

次にやりやすいと感じたのは夜中から朝までが仕事の「深夜」です.この場合も,仕事前に軽く食事をとって(あまり食べすぎると仕事中に眠くなる),仕事中は食べないというシンプルな方法.深夜の場合,出勤が0時(実際は情報収集などのために23時ごろには病院に着いている)のため,22時ごろには家を出発します.つまり21時半には食事を終えています.絶食のことを考えると21時までには終えられていると良いかなと思ったりしています.そして仕事中は絶食を継続.深夜はルーチンの業務は時間内に終わることが多いですが,そのあとに,日ごろ消化しきれていない各部署への連絡や医師やその他のコメディカルと呼ばれる職種の人たち(薬剤師やリハビリのセラピストなど)と話し合いをするために残ることが多く,大体1~2時間ぐらいは残っていることが多いです.そうすると,帰宅は12時頃になります.残り1時間から1時間半ぐらい.これがきつい.この時ばかりはぐっと我慢.無理って人はここはあまりこだわらなくてもいい気がします.もしくは仕事前の食事を少し早くするか.そして,お腹が満たされたところでおやすみなさい.

このスケジュールだと,仕事終わりの疲れているときに食事を我慢する時間が出てくるのと,食事をしてすぐに寝るという少し睡眠の質が下がりそうな感じになりそうなので,もう少し工夫する余地はあるかもしれません.

最後に.日勤の時です.この時は思い切って朝ご飯を食べないで仕事に行くことにしてみました.確かに慣れないうちは午前中にお腹が空いてしまいますが,せっかく前の日の夕ご飯から一晩絶食を続けている状況なのでこれを逃すともったいないと感じてしまいました.そして,仕事中に食事をとらないというスタンスを守るのであれば,次は夕食まで絶食を継続します.確かに,お腹は空きますが,仕事が始まってしまえば考えることややることがたくさんあるので気はまぎれます.このスケジュールだと1日1食になってしまいますが,絶食時間は長く取れるに越したことはないのでこれはこれで良い気がします.私は家族との夕食を優先したいためにこのようなスケジュールを組んでみましたが,どうしても無理な人は,22時と6時ごろに食事をとって仕事中は絶食とするか,6時に朝ご飯を食べて,日勤の時だけ休憩中に軽食を摂るようにすると良いのではないかと思います.

最後にお休みの日ですが,この時は絶食は意識しません!!食べたいものを食べたいだけ食べます.3食きっちりいただきます.3時のおやつもいただきます.

そして,最後に大事なルールを一つ.青木氏も書いていましたが,絶食中でも素焼きのナッツだけは食べてよいこととします.ナッツを食べる量や回数に関しては一切制限をしないというものです.また,水や砂糖の入っていない茶,ブラックコーヒーも特に制限をしません.

こんなスケジュールでやってみようかと思います.

ちなみに,この方法を開始する時点での私の体重ですが,なんと75kg.BMIは29です.これがどのようになるのか,また,このスケジュールをこなせるのかどうかも含めて後日結果を発表したいと思います.

看護師がプチ断食ダイエットを始めてみた件

※今回のテーマは3交代勤務をしている看護師が,16時間の絶食時間を無理なく確保するという方法を考えてみたというものですが,この記事ではその具体的な方法は書いていません.具体的な方法は次の記事で書いていきますので,そちらを参照していただければと思います.

 

少し前に青木厚さんの「空腹」最強のクスリという本が出版され,話題になりました.この本のキモは1日16時間の空腹時間を作るだけで,健康に生きることができるというものです.

そもそも私たちが当たり前だと思っている1日3食の生活は,成人が1日に必要なカロリーから考えると食べ過ぎだというのです.

そして,食べ過ぎるということの弊害として日本人の国民病ともいえるがんや糖尿病,動脈硬化心筋梗塞などの心血管系の病気等にかかる危険が高くなるというのです.

食べ過ぎと体の不調との関連はひとえに「内臓の働きすぎ」にまとめられます.

というのも私たちの認識では食事というのは作って,飲み込めば終わってしまいますが,体からしたら,そこからが本番です.

私たちが飲み込んだ食べ物を胃や腸で栄養素に分解して,体の中に取り込む.

取り込んだ栄養素を肝臓などで体がエネルギーとして使える形に加工する.

加工したエネルギー源を細胞の中に取り込む.

細胞の中でエネルギーを使って仕事をする.

という活動を行う必要があるのです.特に,胃や腸で栄養素に分解して体の中に取り込むという仕事はかなりの大仕事です.食べ物が胃の中で消化されるのにかかる時間はおよそ2時間です.小腸では5~8時間,そして大腸で15~20時間ほどかけて消化されます.

つまり,我々が一度食事をすると消化管は24時間の労働を課せられてしまうのです.

私たちの生活は非常に胃腸にとって過酷な環境であるとも言えます.たとえるならひたすら休みなく働くことを強要されるブラック企業のようなものです.そんな過酷な環境では当然疲弊してしまいます.胃腸が疲弊して不調になると,免疫力が低下してしまいアレルギーやがんのリスクが高くなります.

さらに,常に胃腸から栄養分が吸収され続けるとなると,体はそれを使いきれずにため込もうとします.つまり.体に脂肪がつきやすくなってしまうのです.また,血管の中には絶えず栄養分(糖分)がある状態になりますので,糖尿病になりやすくなってしまいます.また,糖分は血管を傷つけてしまいますから動脈硬化などの血管へのリスクも高くなります・

このような理由から現代人の食べ過ぎともいえる生活は体にとって良くないと言えるのです.そこで青木先生は1日のうち連続して16時間,栄養を取らない時間を作ることで,

胃腸や肝臓などの消化器官を休ませてあげられる

脂肪を燃焼させて減らすことができる

血糖値を下げることができること

が可能になると論じています.

さらに,空腹な時間を作ることで,「オートファジー」という仕組みを発動させられることにあると言います.オートファジーとは,細胞内の古くなったタンパク質から新しいタンパク質を作るという仕組みのことです.これは体が,飢餓状態(栄養が不足している状態)になると,体の中にあるもので何とかタンパク質を作ろうとする作用を働かせようとするのだそう.そして,このオートファジーを発動させるためには体はある程度栄養不足の状態にある必要があります.最後に物を食べてからおおよそ16時間ほど経たないとオートファジーは発動しないというのです.つまり,16時間の空腹時間を作らない限り,この健康法は使えません.

ただし,このプチ断食は毎日何が何でもきっちりやらないと効果が出ないというようなスパルタではありません!

たとえ週に1日でも空腹の時間を作れば効果はあるということです.

そして,基本的なルールは16時間何も食べない時間を作るということだけですので,それ以外の時間は何をどれだけ食べても良いということです.

私みたいな食べることが大好きな人にとってはきちんと逃げ道が用意されているという点でもかなり好印象.そして,3交代勤務をこなしている看護師だからこそ,導入のハードルが低いのではないかなと感じ,早速生活の中に取り入れてみました.

少し記事が長くなりましたので,一度切って,次の記事で3交代勤務をしている看護師がどのように絶食時間を確保しているのかということをお伝えしていきます.

呼吸器系の構造について

皆さん,こんにちは.

今回は呼吸器系の構造について考えていきたいと思います.

 

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呼吸器系

呼吸とは

呼吸とは,我々生き物が空気中の酸素を体内に取り込み,糖や脂質,たんぱく質などを酸化・分解する過程でATPという生きていくうえで必要なエネルギーを生み出す一連の反応のことを言います.呼吸は外呼吸と内呼吸に分けられます.

外呼吸

外気から酸素を血液中に取り込み,体内で発生した二酸化炭素を血液中から体外へ排出する働きのことを外呼吸と言います.呼吸によって出入りする酸素と二酸化炭素を呼吸ガスと言い,呼吸ガスが肺で交換されることをガス交換と言います.

内呼吸

血液と体組織の間でガス交換が行われる呼吸のことを内呼吸と言います.内呼吸では,呼吸ガスの動きは外呼吸とは逆に酸素が血液中から組織の細胞に取り込まれ,二酸化炭素が細胞から血液中に移動していきます.

内呼吸によって細胞内で酸素を用いた代謝が行われ.効率の良いエネルギー生産ができるようになります.

 

呼吸器系について

呼吸器系は大きく分けると気道と肺胞に分けられます.

気道:ガスの通り道.鼻腔や咽頭から喉頭までが上気道,喉頭から気管支までが下気道と分類されています.

肺胞:実際にガス交換(大気中の酸素を血液に取り込み,血液中の二酸化炭素を大気に放出する)を行うところです.

肺は胸膜という二重の膜に覆われています.そして,胸膜同士の間は胸腔と言い,正常の状態でも少量の胸水が存在して呼吸運動で胸郭が動く際の摩擦を軽減する働きをしています.

これらの呼吸器系を覆っているのが胸郭です.

胸郭は脊椎と胸骨,肋骨などの骨と肋間筋,横隔膜などの筋肉でできています.心臓や呼吸器系を守る役割もしていますが,呼吸にも深くかかわっています.

 

次回は,呼吸のメカニズムについて書いていこうと思います.

 

 

 

採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その6~(少し上級編:血管の探し方)

以前の記事で,穿刺する血管の選び方について軽く触れました.穿刺するための血管の選び方は

  • 皮膚の上からははっきり見えないけれど,触るとしっかり触れる血管
  • あまり触れないけど,皮膚の上から見える血管

の順番で決めていると話しました.しかし,そのどちらにも当てはまる血管がない人がいます.そんな時でも採血はしなくてはなりません.そこで,そんな時に僕がどのように血管を探しているかを説明します.

 

まずは,もう一度腕全体をよく調べて見落としているところがないか確認します.まれに手背に残ってたりします.子どもだと足も探してみることがあります.

それでもないときには,手首の頭骨側(親指側)付け根にある血管を必死になって探します.ここは周辺に神経や動脈が通っている場所なので穿刺するのはNGとされている部分です.

ここに静脈らしきものを見つけたらそこに利き手と反対の人差し指を乗せます.そして,そこから少しずつ腕を上るように利き手の人差し指でトントンと軽くたたいていきます.すると,血管をたたいているとその振動が利き手と反対の方の指に伝わってきます.

これを繰り返していき,比較的安全な場所まで血管をたどることができたら,そこに印をつけて,狙います.

これで大人であればたいてい採血に使用する血管は見つかります.

これでもどうしても見つからない,子供でおとなしくトントンさせてくれないなどの場合には手背の人差し指と中指の間をまっすぐ手首に向かっていくラインにも血管があるはずなのでそこを探します.

子供の手であれば手のひらから強い光を当てることで静脈を見えるようにすることができます.

また,腕のどこを探してもないというときには,足から採らせてもらうよう患者さんに相談してみましょう.足は腕に比べると血流が豊富なので(歩いて生活している人であれば)腕よりは血管が見つかる可能性が高いです.

 

最後に,「どうしても無理!」というときには,医師に頼んで動脈から採血をしてもらうという方法もあります.その場合には,患者さんに苦痛とリスクが伴いますので,そこまでして何が何でも採らなければならないのかということをもう一度医師と話し合いましょう.

採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その5~(少し上級編:採血で失敗する原因と対処法その2)

さて,前回の続きです.

前回は,血管に逃げられるときの対処法についてお伝えしました.今回は,

血管に当たるけど,途中から引けなくなることの原因と対策

について考えていきます.

途中で引けなくなる原因で多いのは,採血している途中に針が動いてしまうことです.少々のブレであれば針先は血管の中にとどまってくれるので問題ないことが多いですが,うっかり針を進めてしまうと血管を突き破ってしまいます.血管を突き破ってしまうと引けなくなってしまいます.さらに,血管を突き破ってしまうと血腫ができてしまい,ものすごく痛いし,次の採血の際にその血管が使いにくくなってしまいます.

採血をしている途中では,スピッツや引いているシリンジに意識が集中してしまいます.その時に針先がずれてしまいがちになるので,対策を考える必要があります.

この写真のように針を持つ手を宙に浮かしたままで,一生懸命固定しようとすると,どうしても針先はぶれてしまいます.

 

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これは,支点が針の一点のみであり,かつその針は簡単に動いてしまうことが原因です.つまり,採血中に針が動かないようにするには,「少なくとももう一点,どこか別の場所」を支点にすれば良いのです.

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そこで,僕は針を刺して逆血が来たら針を持っている手の人差し指の爪,中指の第一関節から第二関節のまっすぐなところ,薬指の第二関節を患者さんの皮膚に接触するように置きます.すると,針はそれ以上進みません.また,子供の採血をするときには,子供が不意に動いてしまうこともあります.そんなときも,手を患者の体に置いているのでしっかりとついていけます.これで少々患者が動いても最後までしっかりと採ることができます.

それ以外に,途中で引けなくなる原因としては,高度脱水状態の患者で採血の陰圧で血管がぺちゃんこになってしまった場合が考えられます.

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そんな時に,頑張りすぎるとせっかく採れた血も固まってしまうので早々に針を抜いて取れた分は検査に出してしまいましょう.

そして,採り直しの時には針一本で採血(通称ポタポタ採血)で挑戦しましょう.キモは血管の中の血を陰圧で引かずに,流れ出てくるままに採ることです.

この方法のメリットは血管にあたりさえすれば何とか採血ができるということです.デメリットは,凝固系などの正確な量が必要な検査の場合,既定の量が入っているのかが把握しにくく,せっかく頑張ってとれたのに検査できなかったなんてことが起こりうるということです.これで,採れなかったら諦めて医師に相談しましょう(本当に採血する必要があるのかも含めて).

どうしても,何が何でも採って検査しなくてはいけないとなったら医師に伝えて「動脈」から採血してもらうというのも一つの手段です.こればっかりは普通の看護師はできないので.

採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その4~(少し上級編:血管に逃げられるときの対処 復習あり)


前回までの記事で,採血の基本的な流れを書きました.

正直,前回までの内容であれば新人さんやブランクのある方以外の人にとっては当たり前の内容だったかもしれません.

おそらく採血に悩んでいる人のほしい情報はこの記事以降のものになるのではないかと思います.

そもそも採血が上手くできないパターンとして僕の経験からわけると大きく2パターンあります.

  • 血管に当たらない
  • 血管に当たったけど,途中から引けなくなった

それぞれについてみていきましょう.

  • 血管に当たらない

血管に当たらないときは,ほとんどの場合血管選びの段階で失敗しています.詳しくは「別記事」で紹介していますのでそちらを参照してください.

もし,見えていないけどハリがある血管を選んだけれど,やっぱり見えたほうが安心するという方は,患者さんに了解を取って,血管を触りながら丁寧にマーキングしましょう.

血管選びはバッチリという場合は,血管に逃げられている可能性があります.高齢の人に採血をする場合には,皮下組織にハリがなく,血管が針に押されて逃げることがよくあります.また,若い人でも立派な血管を持っている人は,血管の壁がピチピチなので,油断していると逃げられます.

そんな時は,今一度,刺す前に皮膚を引っ張って血管を固定するということを意識しましょう.

そこで,僕が普段血管を固定するときに気を付けていることを書こうと思います..

皮膚にテンションをかけるときには血管の上から皮膚を抑えて引っ張ると,血管自体のうっ血が消えてしまうのであまりよくありません.

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血管の上から引っ張ってしまうと……

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血管自体のうっ血が消えます

では,血管を外して少し斜めに引いてみてください.そうすると血管のうっ血は消えず(血管はぴちっと張ったまま),血管を固定することができます.しかし,この固定方法にも欠点があります.斜めに引くので血管が当初思っていた場所よりも引いた方向にずれてしまうということです.たいていの場合その方向を予想して(引っ張ってから血管に触れて確かめると良いでしょう)血管を狙うと問題はありません.血管をマーキングするときは,引っ張ってからマーキングするようにしましょう.

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斜めに引っ張るとうっ血は消えません……ですが血管が初めに狙ったところよりもずれるので注意が必要です

それでも,どうしても難しい血管の持ち主の場合は,別の抑え方を試してみましょう.

血管を抑えるときの基本は,血管を直接押さえないことです.これは変わりません.そこで,血管の両側からテンションをかけることをしてみましょう.下の図ように血管を挟んで人差し指と親指で左右に広げながら皮膚を引きます.これの応用で,小児などであれば腕を動かさないようにつかみながら皮膚にテンションをかけるという技もできます.

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血管の両側からテンションをかけると動きません

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これで血管にヒットする確率はかなり上がると思います.

 

次回は,その他のよくある失敗についてです.