採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その4~(少し上級編:血管に逃げられるときの対処 復習あり)
前回までの記事で,採血の基本的な流れを書きました.
正直,前回までの内容であれば新人さんやブランクのある方以外の人にとっては当たり前の内容だったかもしれません.
おそらく採血に悩んでいる人のほしい情報はこの記事以降のものになるのではないかと思います.
そもそも採血が上手くできないパターンとして僕の経験からわけると大きく2パターンあります.
- 血管に当たらない
- 血管に当たったけど,途中から引けなくなった
それぞれについてみていきましょう.
- 血管に当たらない
血管に当たらないときは,ほとんどの場合血管選びの段階で失敗しています.詳しくは「別記事」で紹介していますのでそちらを参照してください.
もし,見えていないけどハリがある血管を選んだけれど,やっぱり見えたほうが安心するという方は,患者さんに了解を取って,血管を触りながら丁寧にマーキングしましょう.
血管選びはバッチリという場合は,血管に逃げられている可能性があります.高齢の人に採血をする場合には,皮下組織にハリがなく,血管が針に押されて逃げることがよくあります.また,若い人でも立派な血管を持っている人は,血管の壁がピチピチなので,油断していると逃げられます.
そんな時は,今一度,刺す前に皮膚を引っ張って血管を固定するということを意識しましょう.
そこで,僕が普段血管を固定するときに気を付けていることを書こうと思います..
皮膚にテンションをかけるときには血管の上から皮膚を抑えて引っ張ると,血管自体のうっ血が消えてしまうのであまりよくありません.
では,血管を外して少し斜めに引いてみてください.そうすると血管のうっ血は消えず(血管はぴちっと張ったまま),血管を固定することができます.しかし,この固定方法にも欠点があります.斜めに引くので血管が当初思っていた場所よりも引いた方向にずれてしまうということです.たいていの場合その方向を予想して(引っ張ってから血管に触れて確かめると良いでしょう)血管を狙うと問題はありません.血管をマーキングするときは,引っ張ってからマーキングするようにしましょう.
それでも,どうしても難しい血管の持ち主の場合は,別の抑え方を試してみましょう.
血管を抑えるときの基本は,血管を直接押さえないことです.これは変わりません.そこで,血管の両側からテンションをかけることをしてみましょう.下の図ように血管を挟んで人差し指と親指で左右に広げながら皮膚を引きます.これの応用で,小児などであれば腕を動かさないようにつかみながら皮膚にテンションをかけるという技もできます.
これで血管にヒットする確率はかなり上がると思います.
次回は,その他のよくある失敗についてです.