採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その6~(少し上級編:血管の探し方)
以前の記事で,穿刺する血管の選び方について軽く触れました.穿刺するための血管の選び方は
- 皮膚の上からははっきり見えないけれど,触るとしっかり触れる血管
- あまり触れないけど,皮膚の上から見える血管
の順番で決めていると話しました.しかし,そのどちらにも当てはまる血管がない人がいます.そんな時でも採血はしなくてはなりません.そこで,そんな時に僕がどのように血管を探しているかを説明します.
まずは,もう一度腕全体をよく調べて見落としているところがないか確認します.まれに手背に残ってたりします.子どもだと足も探してみることがあります.
それでもないときには,手首の頭骨側(親指側)付け根にある血管を必死になって探します.ここは周辺に神経や動脈が通っている場所なので穿刺するのはNGとされている部分です.
ここに静脈らしきものを見つけたらそこに利き手と反対の人差し指を乗せます.そして,そこから少しずつ腕を上るように利き手の人差し指でトントンと軽くたたいていきます.すると,血管をたたいているとその振動が利き手と反対の方の指に伝わってきます.
これを繰り返していき,比較的安全な場所まで血管をたどることができたら,そこに印をつけて,狙います.
これで大人であればたいてい採血に使用する血管は見つかります.
これでもどうしても見つからない,子供でおとなしくトントンさせてくれないなどの場合には手背の人差し指と中指の間をまっすぐ手首に向かっていくラインにも血管があるはずなのでそこを探します.
子供の手であれば手のひらから強い光を当てることで静脈を見えるようにすることができます.
また,腕のどこを探してもないというときには,足から採らせてもらうよう患者さんに相談してみましょう.足は腕に比べると血流が豊富なので(歩いて生活している人であれば)腕よりは血管が見つかる可能性が高いです.
最後に,「どうしても無理!」というときには,医師に頼んで動脈から採血をしてもらうという方法もあります.その場合には,患者さんに苦痛とリスクが伴いますので,そこまでして何が何でも採らなければならないのかということをもう一度医師と話し合いましょう.