採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その3~(刺す手順)

物品を準備し,狙う血管を定めたら……いよいよ刺します!

 

これからは実際に刺すときの手順や気を付けている点を説明していきます.

採血で大切なことは2つです.

1.確実に血管にヒットさせる

2.血管にヒットしたら採血が終わるまで針を決して動かさない!

 

この2点ができれば通常の採血で困ることはまずないと思います.

それでは,順番に見ていきましょう.

 

1.確実に血管にヒットさせるための方法

  • 狙いを定めた血管に向かって正面に位置取りをして,駆血帯を巻きます.

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  • 親指を中にして手をグーにしてもらいます.

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  • 狙いを定めた血管の場所を,見て,触って確認します.

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  • 酒精綿で刺す部位を中心に広めに消毒します.
  • 皮膚を末梢側(自分の側)に軽く引っ張って血管を固定します

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  • そしてここが一番重要なポイントです.自分の眉間と針と狙う血管が一直線になるように位置取りをします.

 

  • 針を持ち,針の切り口を上にして,迷わず,ためらわず,自信をもって「ズバッ!!」と刺します.皮膚を貫く時が一番痛いので,迷いなく,一気に刺すことがコツです.

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  • 血管にヒットすると針の中に暗褐色の静脈血が上がってきます.

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まずは,ここまでで血管にヒットさせるための注意点を書きました.大事なのは自分と針と血管の位置関係です.

それでは,次に血管にヒットした後で針を動かさないための方法を書いていきます.

 

2.血管にヒットした針を動かさないための方法

血管にヒットしたら,針を動かさないように全神経を集中させながらシリンジの押し子を引いたり,真空採血をする場合も,針は動かさないようにして真空採血管ホルダーにスピッツを入れては出し,入れては出しを繰り返します.

とは言っても,採血をしている途中では,スピッツや引いているシリンジに意識が集中してしまいます.

そうすると針への注意がおろそかになってしまい,針先がずれてしまいがちになるので,対策を考える必要があります.

その方法とは,針以外の指を最低1本は患者さんの身体に触れさせておくことです.

何だ,そんなことかと思われる人もいるかもしれませんが,僕はこれが一番大事だと思っています.

この絵のように針を持つ手を宙に浮かしたままで,一生懸命固定しようとすると,どうしても針先はぶれてしまいます.

 

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これは,支点が針の一点のみであり,かつその針は簡単に動いてしまうことが原因です.

また,僕たちの手はじっとさせようと頑張っても宙に浮いたままでは無意識のうちにぶれてしまいます.

つまり,採血中に針が動かないようにするには,「少なくとももう一点,どこか別の場所」を支点にすれば良いのです.

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そこで,僕は針を刺して逆血が来たら針を持っている手の人差し指の爪,中指の第一関節から第二関節のまっすぐなところ,薬指の第二関節を患者さんの皮膚に接触するように置きます.すると,針はそれ以上進みません.また,子供の採血をするときには,子供が不意に動いてしまうこともあります.そんなときも,手を患者の体に置いているのでしっかりとついていけます.これで少々患者が動いても最後までしっかりと採ることができます.

 

  • 必要な量の血液が採れたら,駆血帯を外してから針をまっすぐ抜きます.
  • すかさず,酒精綿で穿刺部位を抑えて圧迫します.協力が得られる人であれば少し自分で抑えててもらいます.
  • シリンジで採った場合は,スピッツに分けます.
  • 正しい方法で保管しつつ,検査室へ提出します.

 

採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その2~(基本編・血管選びについて)

いよいよ針を刺しますよ!……の前に重要な血管選びについて

前回記事で採血に必要な物品を準備しました.次は実際に刺すところを解説したいのですが,その前にすべき大事なことがあります.

針を刺す前に一番重要なポイントはズバリ血管選びです!採血は血管選びが終わればもう半分以上は終了しています.

 

 

 

どんな血管が採血に向いているの?

  • 目で見て確認できる血管

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  • 指で触ってポコッとしている,かつ拍動していない血管

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上記2つが採血でよく狙われる血管です.この2つの条件を両方とも満たしているような血管であれば,ある程度練習すればほぼ失敗はしません.つまり,この2つの条件を満たす血管があれば迷わずそれを選択します.

しかし,正直こんな好条件がそろっている血管の持ち主はなかなか病院に来ません(電車のつり革につかまっている男の人の腕とかだと余裕でありますが).たいていどちらか一方の条件だけを満たしているか,どちらの条件も満たしていないかの人です.

では,まずどちらか一方の条件だけを満たしている人の場合,①と②の条件ではどちらがより成功しやすい血管でしょうか.それぞれについて考えていきます.

 

①:目で見て確認できる血管

慣れない人は①を選んでしまうと思います.

見えているとつい,選びたくなってしまいますね.その気持ちとてもよくわかります.

実際,そちらの方が血管にはヒットしやすいと思います.

しかし,見えるだけで触った感触があまりない血管というのは表皮に近いだけで,細かったり,ペタン子だったりしてあまりしっかりした血管ではないことが多いのです.そのため,血管にヒットしてもすぐに突き破ってしまったり,必要な量の血液が採れなかったりします.

 

②:指で触ってポコッとしている,かつ拍動していない血管

こちらが正解の血管です.

採血が上手と言われる人はこの場合,②の血管を狙いに行きます.しっかり触れる血管は太く,流れる血液の量も豊富なので必要な量が採れます.また,血管がしっかりしているので突き破る危険が少なくなります.

ただし,ドクドクと拍動しているのは動脈なので決して狙わないようにしてくださいね.

 

血管は,少々見えにくくても触れられればそこにはあるので信じて狙います!

どうしても①も②もない!!というときは別の方法でアプローチします.その方法は別記事に回すことにします(長くなりそうなので)

 

何はともあれ狙う血管が決まりましたら次は刺す準備をします.

採血が上手くいかない人へ~採血のコツ その1~(基本編・物品の準備について)

本ブログ初記事です.

初めは多くの新人さんが初めのころに練習するであろう採血についてです.

少しボリュームが多いので数回に分けてお伝えしていこうと思います.

 

初回のこのページでは僕が採血をする際に使用する道具について解説していきます.

 

 

 

採血は病棟・外来・クリニック問わずあらゆる場面で看護師が行う手技の一つですが,看護師養成学校(大学・専門学校など)では一度も人に刺さずに看護師として働き始めます.そのため,看護師になってから初めて採血の練習をするという人がほとんどだと思います(同期や先輩の血管を借りて練習してから患者さんのところに行くことが多いようです).

 

そんな不安だらけの新人さんや,どうしても採血が苦手な人に普段僕が気を付けている点をお伝えします.

 それではまず,一番最初に重要なこと!!

物品を準備する

「そんなこと当り前じゃないか!!」と思う方もいるでしょう.しかし,当たり前だからこそ患者さんのところに行く前にきちんと確認をしましょう.ベッドサイドに行ってから「あれがない!これがない!!」とナースステーションまで戻っていくのは格好が悪すぎます.そして,その待ち時間で患者さんは不安になります.

そして,たいてい物品がしっかりそろっていると成功し,何か足りないものがあると失敗します.

なので,繰り返しにはなりますが,物品はしっかりと準備し,そろっているか確認してから患者さんのところに行きましょう.

 

それでは,僕が普段使っている物品を紹介していきます.

 

□穿刺針

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直針(ただの注射針)を使うか翼状針(羽根とチューブがついた針)は施設や個人の好みによって違います.太い針は刺すときにかなり痛いです.しかし,細い針にすると採血量が多いときに時間がかかります.また,針やシリンジの中で血が固まってしまい,採り直しになることもあります.ということで,針の太さはほどほどのものを選びましょう.20~23Gが一般的です.というか,新生児でさえ23Gで採血できるのでよっぽどのことがない限り23Gが妥当かと思います.私は普段は23Gを使用していますし,最大40mL程度採血をしたことがありますがその時も23Gで何の問題もなく採れました. 

駆血帯と肘枕

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駆血帯はただのゴム紐やゴム紐の先にクリップのようなものがついたもの,ワンタッチタイプのバンド型があります.どれでも構いませんが,小児などで腕が細い人の時は細い駆血帯を使うほうがやりやすいです.

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スピッツ

 とった血液を検査に出す際に使う試験管.どの項目を調べるかによってスピッツの種類は決まっています.

たまに,直前にオーダーが追加されていたりするので,最新のオーダーを確認してから行きましょう!

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□酒精綿(略してアル綿)

アルコールに過敏症のある人はベンザルコニウム塩化物綿などのアルコールじゃないタイプの消毒綿

 

□止血用物品

 酒精綿とテープ,もしくは止血用の絆創膏

 

□ゴミ箱

バイオハザードマーク付きのプラスチックケース(針廃棄ボックスともいわれる)

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次回はいよいよ針を刺します

 

 

小児科ナースのブログです

これから,子育てや看護に関する日々の感じたことや自分で調べたこと,役に立つ情報などを徒然なるままに書いていこうと思います.

 

私と周りの人たちの簡単な紹介をしておきます

特定機能病院の小児科病棟に勤務する中堅ナースマン(数年ですが成人病棟の経験もあり)

 車の運転,パソコンいじり,野球,ウィンタースポーツが好きです

今年はBBQもできたらと企んでいましたが,コロナのために延期しております.

 

専業主婦

結婚3年目あたりでようやく3交代の勤務表が読めるようになりました

最近新生児を抱っこしたい欲がでてきました.

 

息子

トリ肉年(酉年,平成29年)生まれ

家中を歩き回って,珍しいものをいじるのが趣味

特にお気に入りは台所

近頃はパパが夜勤前後で寝ているとウンチおむつで顔面アタックするという技を身に着けました

 

職場の皆様

某大学病院の小児科.いろいろな人がいますが,基本的にいい人に恵まれていると思います.

 

それでは,よろしくお願いします!!